仕訳の基本―現金取引の仕訳

2019-08-11Ladder1

企業では,その財産の動きを複式簿記という方法を使って記録していきます。

複式簿記では,企業の財産が増えたり減ったりしたときに,(1)その財産の動きと,(2)その財産の動きをもたらした理由とをセットで記録していきます。これは,財産がいくらあるかだけでなく,どのような理由によって財産が増減したかを後から振り返ることができるようにするためです。

使ってしまったお金は数えることができません。人間の記憶もあっという間になくなってしまいます。振り返りをするためには,記憶が残っているうちに記録を残し,いつでも見返せるようにしておかなければならないのです。

仕訳―借方と貸方

複式簿記では,財産の動きが仕訳(しわけ)という方法を使って記録されます。

仕訳では,財産の動きとその増減理由とを左右に書き分けて記録していきます。左側の記入欄のことを借方(かりかた),右側の記入欄のことを貸方(かしかた)といいます。

借 方 貸 方

借方・貸方には,それぞれ勘定科目と金額を記録していきます。

勘定科目とは,財産の動きやその増減理由を記録するときに使う項目名のことをいいます。簿記では,同じような性質のものは同じ勘定科目にまとめて記録してしまうことにしています。たとえば,企業の事務所には,机,ロッカー,コンピュータ,電話機などさまざまなものが使われていますが,これらはすべて備品という勘定科目を使って記録されます。勘定科目を使うことで,集計される項目の数を減らし,企業の財産の状況がひと目で分かるようにしているのです。

仕訳では,現金が100円増えたら100,現金が200円減ったら200といったように,その変化額(増減額)を記録します。仕訳では,どれだけの財産があるか(残高)は記録されません。現金をもらったり,使ったりするごとに現金の残高を確認するのは非常に面倒ですから。ちなみに,残高は,仕訳で記録した変化額をすべて合計することでいつでも計算することができます。

借 方 貸 方
勘定科目 金額 勘定科目 金額

仕訳の基本―現金取引の仕訳

それでは,実際に現金取引を例に仕訳を行っていきましょう。

現金取引とは,現金を受け取ったり現金を支払ったりする取引のことです。企業が他の会社やお客さんと取引をするときは,その対価が現金で支払われることが普通です。現代は物々交換の世界ではありませんから。現金取引は,大きな企業でも小さな企業でも毎日のように行われる,非常に基本的な取引です。

現金が増加する取引

企業が現金を受け取った場合(現金が増えた場合)は,借方に現金の記録を行います。そして,その反対側の貸方には現金が増加した理由を記録します。たとえば,商品を売り上げて,その代金10,000円を現金で受け取ったときは,次のように仕訳を行います。

借 方 貸 方
勘定科目 金額 勘定科目 金額
現金 10,000 売上 10,000

現金が減少する取引

企業が現金を支払った場合(現金が減った場合)は,貸方に現金の記録を行います。そして,その反対側の借方には現金が増加した理由を記録します。たとえば,交通費3,000円を現金で支払ったときは,次のように仕訳を行います。

借 方 貸 方
勘定科目 金額 勘定科目 金額
交通費 3,000 現金 3,000

まとめ

  1. 複式簿記は財産の動きとその財産の動きをもたらした理由とをセットで記録する方法
  2. 左側の記入欄を借方,右側の記入欄を貸方という
  3. 現金取引の仕訳方法
    1. 現金が増えた場合 → 借方:現金, 貸方:現金が増えた理由
    2. 現金が減った場合 → 借方:現金が減った理由, 貸方:現金