三分法による商品売買の仕訳

2019-08-11商品, Ladder1

卸売業や小売業では,どこか他のところから取得した商品を販売することによって利益をあげています。

このような業態をとる企業では,利益が商品を取得したときに支払った価格とその商品を販売したときの価格の差額として計算されます。この計算を可能にするためには,(1)商品を取得したときに支払った価格と(2)商品を販売したときの価格をそれぞれ記録しておく必要があります。2つの金額が両方ともわからなければ,利益の計算を行うことができないからです。

商品売買を記録する方法にはいくつかの方法があります。ここでは,そのなかでも最も基本的な三分法(さんぶんほう)による記録方法を学習していきましょう。

商品とは何か

簿記では,企業が販売目的で取得したもののことを商品といいます

あるものが商品になるかどうかは,企業がその商品を取得した目的によって判定されます。たとえば,企業がパソコンを取得した場合を考えてみましょう。もし,お客さんに販売する目的で取得したものであれば,このパソコンは商品になります。一方,事務所で仕事に使うために取得したものであれば,このパソコンは商品になりません。商品か商品でないかは,パソコンというもの自体ではなく,それを販売するつもりがあるかどうかによって決まります。

商品を仕入れたときの仕訳

商品を購入することを仕入れといいます。商品を現金で購入してきたとき(現金仕入)は,次の2つの記録を行います。

  1. 貸方に現金が減少した記録を行う
  2. 借方に現金が減少した理由として仕入勘定の記録を行う
借 方 貸 方
勘定科目 金額 勘定科目 金額
仕入 30,000 現金 30,000

なお,仕入勘定には,商品を購入するためにかかった費用をすべて計上します。これには,商品自体の価格(購入代価(こうにゅうだいか))だけでなく,輸送費用や輸送に際して支払った保険料などの金額(付随費用(ふずいひよう))も含まれます。購入代価も付随費用も,商品の購入にかかったものであれば,どちらも仕入勘定を使って記録します。

ちなみに,この購入代価と付随費用を加えた金額を取得原価といいます

商品を売り上げたときの仕訳

商品を販売することを売り上げといいます。商品を現金で売り上げたとき(現金売上)は,次の2つの記録をおこな会います。

  1. 借方に現金が増加した記録を行う
  2. 貸方に現金が増加した理由として売上勘定の記録を行う
借 方 貸 方
勘定科目 金額 勘定科目 金額
現金 80,000 売上 80,000

なお,売上勘定には,商品を販売した時に受け取る金額だけを計上します。お客さんに商品を配送するサービスを提供している企業もあるでしょうが,この配送料金を売上勘定に計上してはいけません。この場合は,上の売上の仕訳とは別に,商品の配送に関する仕訳を行います。

借 方 貸 方
勘定科目 金額 勘定科目 金額
発送費 1,000 現金 1,000

配送費などを売上と別に記録する理由は単純です。売り上げは現金を受け取る取引ですが,配送は現金を支払う取引です。お金をもらう(現金が増加する)のと,お金を支払う(現金が減少する)のとは,まったく逆の取引ですから,その金額を一緒にまとめてしまうことはできません。

まとめ

  1. お客さんに販売する目的で取得するものを商品という
  2. 商品を購入したとき(仕入れ)
    1. 貸方に現金,借方に仕入の記録を行う
    2. 仕入勘定には,商品の購入代価だけでなく,運送費などの付随費用も記録する
  3. 商品を販売したとき(売り上げ)
    1. 借方に現金,貸方に売上の記録を行う
    2. 売上勘定に記録するのは商品の販売価格だけ
    3. 発送費などの費用は売上とは別に仕訳を行う