総勘定元帳への転記

2019-08-12Ladder1

企業は,財産が増えたり減ったりしたときに,その内容を仕訳の形で記録します。今回のタイトルにある「総勘定元帳(そうかんじょうもとちょう)への転記(てんき)」とは,この仕訳の次に行われる作業のことをいいます。

総勘定元帳への転記とは,端的にいえば,仕訳によって記録された財産の動き(増加・減少)やその発生原因(財産が変動した理由)を,勘定科目ごとにまとめていく作業のことをいいます。この作業を行っておくことで,現金の残高を知りたい,今月の売り上げを知りたいといった情報ニーズがあったときに,一瞬で必要な情報を見つけられるようになります。

最近では無料で使える会計ソフトも出てきているので,実際に企業のなかでこれらの作業が行われることは多くありません。しかし,会計ソフトが出力してきた情報を理解するためには,コンピュータのなかでどのような処理が行われているのかを知っておく必要があります。簿記検定においても,総勘定元帳への転記を行わせる問題が出題されており,現在でも必要な知識であることに変わりはないといってしまってよいでしょう。

総勘定元帳とは何か

転記は,総勘定元帳(そうかんじょうもとちょう)という会計帳簿に行われます。

総勘定元帳には,すべて(総て)の勘定科目の動きについて記録が行われます。仕訳で使われる勘定科目は,必ず総勘定元帳に記録を行う場所が設けられています。逆にいえば,総勘定元帳に記録を行う場所が設けられていない勘定科目は,仕訳においても使用することができません。

総勘定元帳では,勘定科目ごとにページが割り当てられます。現金勘定や売上勘定のような毎日のように記録が行われる勘定科目には多くのページが割り当てられますが,建物勘定や備品勘定のような一度購入したらほとんど動きがないような勘定科目には1〜2ページ程度しか割り当てられません。

T字勘定

総勘定元帳でも仕訳と同じように記録を行う場所が左右に分けられています。左側を借方,右側を貸方というところも同じです。しかし,総勘定元帳は,勘定科目ごとに記録をする場所(ページ)が違うので,「今はどの勘定について記録を行っているのか」が分かるようにしなければなりません。

そこで,次のように記録を行う場所をT字に区切ったT字勘定(てぃーじかんじょう)が使われることが一般的です。

勘 定 科 目
摘 要 金 額 摘 要 金 額
○○○ 30,000 ○○○ 20,000

T字勘定の上側には,今,記録を行っている勘定科目を示します。そしてその下側が仕訳の中身を書き写していく(転記する)場所になります。左側が借方で,右側が貸方です。借方も貸方も,どちらも摘要欄と金額欄とに分けられます。これらの使用方法については,次の具体例のなかで説明していきましょう。

転記の具体例

それでは,さっそく次の仕訳を転記してみることにしましょう。

借 方 貸 方
勘定科目 金額 勘定科目 金額
現金 80,000 売上 80,000

現金勘定の転記

まずは,借方の現金勘定から転記していきます。現金勘定の転記を行うのですから,T字勘定の上の部分は現金になります。

現     金
摘 要 金 額 摘 要 金 額
       

次に,現金勘定が仕訳されているのと同じ側に,仕訳されている金額を書き写します。現金勘定はもともと借方に仕訳されていて,その仕訳されている金額は80,000円ですから,総勘定元帳の記録は次のようになります。

現     金
摘 要 金 額 摘 要 金 額
  80,000    

最後に,金額を記入したのと同じ側の摘要欄に,その相手勘定を書き写します。ここで,相手勘定とは,今,記録を行っている勘定科目の反対側に仕訳されている勘定科目をいいます。今は現金勘定の記録を行っているのですから,その相手勘定(反対側に仕訳されている勘定科目)は売上勘定です。このため,総勘定元帳の記録は次のようになります。

現     金
摘 要 金 額 摘 要 金 額
売上 80,000    

売上勘定の転記

売上勘定についても同じように転記していきましょう。売上勘定の転記を行うときは,T字勘定の上の部分は売上となります。

売     上
摘 要 金 額 摘 要 金 額
       

次に,売上勘定が仕訳されているのと同じ側に,仕訳されている金額を書き写します。売上勘定はもともと借方に仕訳されていて,その仕訳されている金額は80,000円ですから,総勘定元帳の記録は次のようになります。

売     上
摘 要 金 額 摘 要 金 額
      80,000

最後に,金額を記入したのと同じ側の摘要欄に,その相手勘定を書き写します。今は売上勘定の記録を行っているのですから,その相手勘定(反対側に仕訳されている勘定科目)は現金勘定です。このため,総勘定元帳の記録は次のようになります。

売     上
摘 要 金 額 摘 要 金 額
    現金 80,000

相手勘定が2つ以上ある場合|諸口

仕訳によっては,次のように相手勘定が2つ以上ある場合があります。

借 方 貸 方
勘定科目 金額 勘定科目 金額
借入金 100,000 現金 105,000
支払利息 5,000    

この仕訳では,現金勘定の相手勘定として,借入金勘定と支払利息勘定の2つがあります。このように相手勘定が2つ以上ある仕訳を転記するときは,摘要欄に相手勘定を記入する代わりに諸口(しょくち)と書きます。相手勘定を1つ1つ書き写さずに,諸口を使って1つにまとめてしまうのです。

この仕訳について,現金勘定に転記をしてみると,次のようになります。貸方の摘要欄に諸口と記入されていますね。

現     金
摘 要 金 額 摘 要 金 額
    諸口 105,000

まとめ

  1. 総勘定元帳は,すべての勘定科目の動きを記録するための会計帳簿である。
  2. 転記とは,総勘定元帳に仕訳の記録を書き写していくことをいう。
  3. 転記は,次の3つのプロセスで行う。
    1. T字勘定の上側に転記を行う勘定科目を示す
    2. 仕訳されているのと同じ側の金額欄に金額を書き写す
    3. 摘要欄に転記を行う勘定科目の相手勘定を書き写す(相手勘定が2つ以上ある場合は諸口とする)