さまざまな経費―所得税の青色申告決算書を例として

Ladder1, 費用

企業は,その活動のなかでさまざまな経費を支出します。経費の定義にはさまざまなものがありますが,ここでは,企業活動のなかで経常的に発生する費用のうち,販売した商品の取得原価(売上原価)以外のものをものを経費ということにします。

簿記では,経費をそのそれぞれの性質に見合った勘定科目によって記録していきます。ただし,このどの勘定科目を使うか,どのような経費をどのような勘定科目で記録するかについては企業に任されている部分が多く,同じ費用であっても,企業によって記録する勘定科目がまったく違うということも珍しくありません。

この記事では,経費について,所得税を申告するときに使用する青色申告決算書に記載されている科目を使って紹介します。経費を記録する勘定には,ここで紹介するもの以外のものもありますので,あくまでも1つの例として参考にしてもらえればと思います。

租税公課

租税公課(そぜいこうか)勘定は,企業が普段の活動のなかで支払ったさまざまな税金を記録しておく勘定です。租税公課勘定で記録される勘定には,印紙税,固定資産税,不動産取得税などさまざまなものがあります。

酒税,ガソリン税のように税金が購入したものの代金のなかにはじめから含まれている場合もありますが,このような場合はわざわざ税金部分だけを抜き出して仕訳をするようなことはしまあせん。租税公課勘定で記録されるのは,税金として別建てで請求されることがほとんどです。

なお,税金によっては申告によって納付することになるものもあります(申告納税制度)。具体的には,所得税,法人税,住民税,事業税などです。これらについても租税公課勘定には記録しません。

荷造運賃

荷造運賃(にづくりうんちん)勘定は,企業が商品等の発送等に際して支払った費用を記録しておく勘定です。具体的には,商品を梱包したり,包装したりするときの費用(荷造費)や運送業者に運送を依頼したときの費用(運送費)などが荷造運賃勘定に記録されます。

荷造運賃勘定を使用する企業では,梱包に使用するダンボールやエアパッキンなどは,消耗品勘定ではなく荷造運賃勘定を使って記録することが一般的です。一方,商品の運送費用を発送費(はっそうひ)勘定を使って荷造費とは別に記録している場合は,これらの梱包資材を荷造運賃勘定ではなく,消耗品費勘定で記録することもあります。

水道光熱費

水道光熱費(すいどうこうねつひ)勘定は,水道料金(上下水),電気代,ガス代などを記録するために使用される勘定です。

旅費交通費

旅費交通費(りょひこうつうひ)勘定は,航空機,船舶,電車,バス,タクシーなどの交通機関を使用したときに支払った費用や,出張の際の宿泊費などの記録するために使用される勘定です。

企業では,従業員に出張させるときなど,必要経費を事前に支払っておく(仮払い)こともありますが,このような場合は旅費交通費勘定を使用しません。旅費交通費勘定を使用するのは,実際に交通機関を使用したり,宿泊したりして料金を支払った後のことになります。

通信費

通信費(つうしんひ)勘定は,インターネット,電話,郵便料金等,遠隔地とのコミュニケーションのために支払った費用を記録するための勘定です。

広告宣伝費

広告宣伝費(こうこくせんでんひ)勘定は,コマーシャルを行ったり,ポスターやチラシを作成したり,見本品・試供品を製造・頒布したりしたときに負担した費用を記録するための勘定です。

接待交際費

接待交際費(せったいこうさいひ)勘定は,取引先を接待したり,お中元・お歳暮などの贈答品を贈ったりしたときに発生した費用を記録するための勘定です。

接待交際費のうち飲食費については,仕訳を行うだけでなく,次の事項を帳簿書類に記載しておく必要があります。これらの記載がない場合,法人税法上の特典を受けることができなくなります。

  1. 飲食等のあった年月日
  2. 参加者の氏名と,これらの者と企業との関係
  3. 飲食費の額,飲食店の名称・所在地
  4. その他,飲食費であることを明らかにするために必要な事項

損害保険料

損害保険料(そんがいほけんりょう)勘定は,企業が保有する財産が被災・損壊したとき,企業の活動のなかでお客さんなどに怪我などをさせてしまったりしたときのために備えて保険に加入している場合に支払う保険料を記録するための勘定です。

修繕費

修繕費(しゅうぜんひ)勘定は,企業が保有する財産が破損等した場合に修理・修復をしたときに支払った費用を記録するための勘定です。

消耗品費

消耗品費(しょうもうひんひ)勘定は,企業が保有する少額または使用可能期間の短いものを購入したときにその支出額を記録するための勘定です。法人税法の規定に即して,金額が10万円未満であるか,または,使用可能期間が1年未満であるものを購入したときに使用されることが一般的です。

減価償却費

減価償却費(げんかしょうきゃくひ)勘定は,建物,備品,車両などのように金額が大きくかつ使用可能期間が長いものを使用したことにより発生する費用を記録する勘定です。これらのものはその使用額を目て見て評価することができないので,一定の計算式を使ってその金額が求められます。建物などの購入価額がそのまま減価償却費になるわけではありませんので注意しましょう。

福利厚生費

福利厚生費(ふくりこうせいひ)勘定は,就業規定などに基づいて,従業員に対するサービスをした場合に発生する費用を記録しておく勘定です。具体的には,祝儀・香典などの慶弔費,従業員同士の懇親会費,社員旅行や各種のイベントなどのために支出する金額が福利厚生費勘定に記録されます。

給料賃金

給料賃金(きゅうりょうちんぎん)勘定は,従業員に対して支払う給料や賃金を記録する勘定です。給料賃金勘定には,基本給や職能給だけではなく,賞与や各種の手当なども記録されることが一般的です。

外注工賃

外注工賃(がいちゅうこうちん)勘定は,製造業などにおいて,一部の工程を外注した場合に,その外注先に支払った費用を記録しておく勘定です。

利子割引料

利子割引料(りしわりびきりょう)勘定は,借り入れをしたときに支払った利子や手形を割り引いたときに支払った割引料を記録するための勘定です。

企業会計の基準が適用される会社の場合,割引料については,手形売却損勘定を使って仕訳することとされているため,この利子割引料は使用しません。

地代家賃

地代家賃(ちだいやちん)勘定は,土地を借りたときに支払う地代や,店舗や事務所を借りたときに支払う家賃を記録するための勘定です。

雑費

雑費(ざっぴ)勘定は,金額が小さかったり,稀にしか発生しなかったりといった理由のため,わざわざ1つの勘定を使って集計するまでもない「その他の費用」を記録するための勘定です。

これまでいろいろな勘定科目を紹介してきましたが,重要性が低い場合は,この雑費勘定のなかにまとめてしまうこともあります。