損益計算書とその構成要素―収益・費用

財務諸表, Ladder2

企業は,日々の活動のなかで行われた記録を一定期間ごとに集計し,財務諸表(ざいむしょひょう)とよばれる集計表を作成します。財務諸表にはいくつかの種類のものがありますが,この記事では,損益計算書(そんえきけいさんしょ)についてとりあげます。

損益計算書(そんえきけいさんしょ)は,企業の営業活動を通じて,会計期間中に純資産がどのような理由でどれだけ増え,また,どのような理由でどれだけ減ったかをまとめた表をいいます。純資産には,企業の所有者が拠出した金額と企業自身が稼いだ金額の2つが記録されますが,損益計算書は,後者の企業自身が稼いだ金額を計算するために使用されます(純資産について,詳しくは別記事【貸借対照表とその構成要素―資産・負債・純資産】を参照してください)。

なお,損益計算書は,英語の省略形を使ってP/L(ぴーえる)とよばれることもあります。また,最近では,包括利益計算書とよばれる別の財務諸表と合体させて損益及び包括利益計算書という名称でよばれることもあります。ただし,包括利益計算書はかなり難しいので,この記事では損益計算書部分だけをとりあげることにしましょう。

損益計算書の構造

損益計算書は,次のような構造になっています。

損 益 計 算 書
費 用 収 益
 

借方の構成要素

損益計算書の借方には,費用が計上されます。これは,貸借対照表上,純資産が計上される側(貸方)の反対側になります。

費用

費用(ひよう)とは,企業の純資産を減少させた理由のことをいいます。

純資産が減少する=費用が発生するのは,次のような場合です。

  1. お金を使った・支払った(給料,旅費,交通費,家賃,交際費,水道光熱費など)※
  2. ものや権利を使った(消耗品費,減価償却費,特許権償却など)
  3. お金やものがなくなった(汚損,破損,盗難,被災など)

※ なお,1.のお金を使った場合のうち,他の資産(商品,備品など)を購入したケースでは純資産が減少しません=費用が発生しません。このようなケースでは,お金は減りますが,その代わりに他の資産が増えますので,総合的に考えれば,企業の財産が減っていません(プラスマイナスゼロ)。

貸方の構成要素

損益計算書の貸方には,収益が計上されます。これは,貸借対照表上,純資産が計上される側(貸方)と同じ側になります。

収益

収益(しゅうえき)は,企業の純資産を増加させた理由のことをいいます。

純資産が増加する=収益が発生するのは,次のような場合です。

  1. お金を受け取った(売上など)※
  2. ものを受け取った(寄贈など)

※ なお,1.のお金を受け取った場合のうち,負債が増加したケースでは純資産は増加しません=収益は発生しません。このようなケースでは,お金(資産)が増えますが,同時に借入金など(負債)も増加してしまいます。純資産は,資産から負債を差し引いたものですから,同じ金額同士を引き算したら答えはゼロ=増加なしになってしまいます。

純損益

費用と収益の差額を純損益(じゅんそんえき)といいます。これは,次の2つを1つにまとめた言葉です。

  1. 【費用の方が大きい場合】 純損失(費用−収益)
  2. 【収益の方が大きい場合】 純利益(収益−費用)

費用と収益のどちらが大きいかによって計算式の順番も入れ替わっていますが,純損益の計算をするときはどちらか大きい方の金額から小さい方の金額を差し引くと覚えておけば,どちらの場合でも対応できます。

損益計算書等式

これまで説明してきた費用,収益および純損益の関係を計算式の形にまとめたものを損益計算書等式といいます。損益計算書等式は,費用と収益のどちらが大きいかによって2つの計算式があります。

費用>収益の場合  費用=収益+純損益(純損失)
費用<収益の場合  費用+純損益(純利益)=収益

このように,純損益は費用と収益のうち,どちらか小さい方の側に加えることになります。

最後に,損益計算書の具体例を見ておきましょう。通常,成長している企業は費用よりも収益の方が大きくなりますので,ここでは2つ目の損益計算書等式が成り立つような損益計算書を紹介します。

損 益 計 算 書
売上原価 200,000 売上 700,000
給料 300,000
広告宣伝費 80,000
支払家賃 100,000
当期純利益 20,000

借方の費用(緑の部分)は合計68万円,貸方の負債(薄紫の部分)は70万円ですから,純損益(収益の方が大きいので純利益)は2万円になります。純損益は,費用や収益と区別するために赤字で表記されることが一般的です。

まとめ

  1. 損益計算書(P/L)は,企業の営業活動を通じて,会計期間中に純資産がどのような理由でどれだけ増減したか(経営成績)をまとめた表
  2. 損益計算書に借方には,費用(純資産の減少理由)が計上される
  3. 損益計算書の貸方には,収益(純資産の増加理由)が計上される
  4. 費用と収益の差額を純損益という。これは純損失と純利益を1つにまとめた言葉
  5. 損益計算書・損益計算書等式上,純損益は費用と収益のどちらか小さい側に加えられる