資金の借り入れと返済の仕訳

債権債務, Ladder1

企業が活動するうえでの元手となるお金は,企業の所有者(オーナー)が拠出することが基本となります。しかし,それだけでは足りない場合は,そのお金を金融機関などから借り入れることになります。

世の中には「借金=悪」と考えている人がいるのですが,お金を借り入れること自体が悪いわけではありません。お金を借りられるからこそ,私達は車や家を購入することができ,幸せを前倒しで享受することができます。これは,企業の場合も同じです。お金を借りられるからこそ,企業は店舗や工場などに投資をすることができ,機動性ある活動ができるのです。お金が貯まるまで投資をできないというのでは,企業が大きくなるのに非常に長い時間がかかってしまいます。本当に悪いのは返済できないほどのお金を無計画に借りてしまう人間の方であり,借金自体ではありません。

さて,この記事では,お金を金融機関などから借りたときと,そのお金を返済したときの仕訳について学習していきます。

金銭消費貸借契約書・借用証書

お金を借りるときは,その証拠となる文書が作成されることが一般的です。文書を作成しておけば,将来に「借りた」「借りていない」のトラブルを防ぐことができます。最悪の場合,これらの文書は裁判所に証拠資料として提出されることになりますので。

お金を借りるときに作成される文書には,金銭消費貸借契約書と借用証書(借用書)の2つがあります。お金を借りるときには,このうちどちらか一方が作成されます。

金銭消費貸借契約書(きんせんしょうひたいしゃくけいやくしょ),貸手と借手が共同して,お金の貸し借りがあったことを宣言するものです。金銭消費貸借契約書は複数作成され,そのすべてに貸手・借手が連名でサインを行い,それぞれ保管をします。貸手も借手もどちらも同じ書類を保管しているので,後日,その書類が改ざんされてしまうことを防ぐことができます。

これに対して,借用証書(しゃくようしょうしょ)は,借手がお金を借りたことを自ら宣言するものです。借用証書は借手が作成し,サインをしたうえで,貸手に対して提出します。この場合,作成された借用証書をもっているのは貸手だけです。借用証書の作成は簡単ですが,貸手によって書類が改ざんされてしまうといったリスクもあります。

お金を借りたときの仕訳

さて,お金を借りると企業には使える現金が増えます。現金が増えたときは借方に現金勘定の記録を行うのでした(別記事【仕訳の基本―現金取引の仕訳】参照)。

そして,その反対側である貸方には,現金が増えた理由を記録します。金融機関などから借り入れを行ったときは,借入金(かりいれきん)勘定を使って記録を行います。

結局,お金を借りたときの仕訳は,次のようになります。

借 方 貸 方
勘定科目 金額 勘定科目 金額
現金 100,000 借入金 100,000

なお,借りたお金をその場で受け取らず,普通預金口座に入金してもらった場合の仕訳は,次のように借方の現金勘定のところを普通預金勘定に置き換えたものになります。

借 方 貸 方
勘定科目 金額 勘定科目 金額
普通預金 100,000 借入金 100,000

お金を返済したときの仕訳

元本部分の返済

逆に,借りたお金を返済すると,企業の現金が減ってしまいます。現金が減ったときは,貸方に現金勘定の記録を行うのでした。

そして,その反対側である借方には,現金が減少した理由を記録します。今回は,借入金を返済したのですから借入金勘定を使用します。借入金は,借りたときも返済したときも借入金勘定を使って記録します。これは,返済によって借入金が減る(なくなる)からです。現金勘定の記録も減ったとき(なくなったとき)は増えたとき(受け取ったとき0の反対側に記録しましたね。借入金の場合も同じです。借入金勘定の記録を借りたときとは反対側に行うことで,借入金がなくなったことを表すのです。

したがって,借入金を返済したときの仕訳は,次のようになります。

借 方 貸 方
勘定科目 金額 勘定科目 金額
借入金 100,000 現金 100,000

なお,普通預金口座から自動で引き落とされたときは,さきほどと同じように現金勘定を普通預金勘定に置き換えて,次のように仕訳します。

借 方 貸 方
勘定科目 金額 勘定科目 金額
借入金 100,000 普通預金 100,000

利息の支払い

通常,お金を借りたときは,借りたお金を返すだけでなく,一定の利息を支払う必要があります。この場合,上の元本部分の返済の仕訳に加えて,次の利息の支払いの仕訳を行います。

仕訳の基本的な考え方は同じです。まず,現金が減るので貸方に現金勘定の記録を行います。そして,その反対側である借方に現金が減少した理由です。今回は利息を支払ったのですから,支払利息(しはらいりそく)勘定を使って次のようにします。

借 方 貸 方
勘定科目 金額 勘定科目 金額
支払利息 10,000 現金 10,000

まとめ

  1. お金を借りたときは,金銭消費貸借契約書または借用証書(借用書)が作成される。
  2. お金を借りたときは,貸方に借入金勘定の記録を行う。
  3. 借入金を返済したときは,借方に借入金勘定の記録を行う。
  4. 返済とともに利息を支払ったときは,3.の仕訳に加えて利息を支払った記録も行う。